2005年6月21日

Contemporary Political Attitudes and Behavior of the Chinese in Metro Manila

著者 : Aileen S. P. Baviera
出版元: Philippine China Development Resource center
出版年: 1994

迫害の歴史を持つ東南アジアの華人は、もっぱら経済活動に専念し、政治的な活動については意識的に避けるのが一般的です。そのため、彼らの政治的な活動については、なかなか議論の遡上に上ることはありません。そのなかで、本書は、マニラに在住する華人に対するアンケート調査を行い、その政治参加意識の違いを世代別、居住地別など、さまざまな形で浮き彫りにしています。それ自体の精緻な分析もさることながら、華人の政治化の過程を脱中国化、フィリピン化の過程として捉える視点は、今後も検討に値するテーマだと感じました。特にフィリピンにおける華人、特に若い世代の政治参加意識は、前の世代のそれとはかなり異なっているように感じます。アロヨ大統領誕生の契機となったピープルズパワー2の集会に、華人の青年団体が参加していたことなどはそのいい例でしょう。在比華人の今後の方向性を占う上で、ひとつの方向性を示した一書です。

投稿者 MMG : 13:39 | -